ドキドキの朝

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ドキドキの朝

ピピピピピピピ 目覚まし時計の音が鳴る。 寝不足だ。 昨日はほとんど寝れなかった。 それもそのはず、昨日私は勇気を出して告白したのだ! 想い人である泰斗(たいと)君の下駄箱に私の気持ちをしたためた手紙を入れた。 迷いに迷って何度も書き直した手紙。 渡すかどうかも何度も迷って結局放課後になってしまって、その時間になってやっと決心がついて、彼の下駄箱に入れてきた。 メールアドレスも書いておいたから連絡が来るかもしれないと、昨夜は遅くまで携帯を握りしめていた。 でも、今起きて冷静になって気付いた。 昨日泰斗君は、私より早く帰ったのだから手紙を見るのは早くても今日の朝。 連絡なんて来るはずないのだ。 無駄に徹夜しちゃったなと思いながら、私はいそいそと身支度を始める。 その時、ある可能性に気付いて、ハッとする。 『誰かが手紙に気付いて勝手に読んじゃったらどうしよう』 うちの学校の下駄箱は、扉がついているような高級品ではない。 つまり、横を通ればだれでも手紙に気付けるってことだ。 デリカシーのない人がもし泰斗君より先に手紙に気付いて開けてしまったら……。 そう思うといてもたってもいられず、私は急ピッチで学校に行く準備をする。 「香苗(かなえ)、ご飯はー?」 「ごめん、急いでるから!」 朝食について聞いてくるお母さんに断りを入れて、私は学校へ向けて走った。
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