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理解の解像度は嫌にでも上がった。
今彼が見たものは、顔の穴という穴から若草色の映える蔓草が伸びた
男の死体だった。うっ血した表情は窒息死の証拠で、
男はその内に繁殖した草によって呼吸を失い、
苦しみながら死に絶えたのだった。
それと同時に、
どうして四光がこの夜更けに、そこまで整った隊服のままだったのか、
雨島には検討がついてしまった。
彼女はそもそもこの死体の第二か第三の発見者であり、
警官たちが見つける前にそそくさと死体を運び出して、
おそらくは先程まで、他の隊員と共に検死を行っていたのだろう。
今はその後片付けのついでに、まだ未熟者の自分を教育するべく、
この死体と対面させたに違いない。
はたして四光の狙いが彼の想像通りであったのかはわからないけれど、
ただ一つ確かなことは、
やはり雨島は死体の醜さに堪えきれない嘔吐きのままに、
これ以上の研修など不可能だと言うように、
蚊の逃げるような、
素早いがみっともない足取りで地下室を出ていったということだけだった。
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