クライオニクス

2121年

「5,4,3,2,1 Happy New Year 2121年！」

年が明けた瞬間、テレビ画面にはCGで作られた何発もの花火が打ち上がり、高層ビルにはプロジェクションマッピングで『2121』とカラフルに表示された。恐らく、AIを利用して無人で行なっているのだろう。
去年であれば、その映像を生で見る為に、その場所で年越しを迎える人達でごった返していた筈。だけど今回、それを見る人達は殆(ほとん)どいない。

私は、1年間生き延びたなぁと考えながら、部屋干ししたスカートをハンガーから取ってクローゼットにしまうと、少し憂鬱な気分でベッドへ向かい眠りについた。