高校2年の3月

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高校2年の3月

 一応、チーフからの破格の働きやすさも手に入れられた。おかげで学校内の成績も出席日数も優秀。成績は学年上位30番くらいには各教科食い込んでいる。一番高い教科は現代文、学年3位だ。  進学の志望校は3つに絞り込んだ。国家資格といわれるSEの資格、そして就職率を考えると、3つの学校が残った。3校ともに同じ専門の資格が取れる。あとは就職先がホワイトよりかブラックよりかということだ。どちらに就職できるかは運だろう。  バイトのほうでは高校2年3月になると3人で1グループが結成された。 オレ、栗原祐。2人目は鮎原リク。3人目は八神けん。 秋葉原本店でトップ3の人気。  主な活動はポスター撮影と執事カフェオリジナル時店の着ボイス。 (おはようとかだけじゃないのか。ってかセリフ甘すぎだろ!!エロボイスなのだろうか。おれまだ17なんだけどセーフなのかこのセリフたち。)  突然フロアに出てこなくなったから「今までは幻だったのか」や「やめてしまったのか」という問い合わせが殺到しているらしい。 伊丹チーフから「学業に専念しつつ活動を続けています」とのことでSNS上で発表された。 SNS上はそれで収まったらしい。  さて、今日は秋葉原の店舗ではなく品川のスタジオだ。本来は歌をレコーデイングする用なのだろう。音楽系の機材がドドドンとある。 台本を渡され、俺を含め、呼び出されたメンバーは目をぱちくりさせた。 「チーフ、これおれがいうんですか?」 「そう!!『あなたが欲しい』ってせりふあるでしょ? きちんと読んで。世の中の女性をきゅんとさせるのよ」 「キュンって」  男子はいまいちその感覚はわからない。オレを含めてメンバーは首をひねった。 「要するにいつものようにしてればいいってことでしょ。『オレは魔法をかけてあげるぜ。夢のような時間にしてみせるから』ってところだな」 「だね。僕は『お姉さん、可愛がってよ』かぁー。さっすがチーフ!!メンバーのカラーもちゃんとセッティングしてあるねぇ。敏腕~」  さすが先輩メンバーさんたち。順応が早い。 関心するやら尊敬するやらだ。
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