高校2年へ

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次のバイト日、本社へ行くと大々的に告知ポスターがあった。 【推しの執事に魔法をかけてもらうと、めでたいことが起こるかも】 ピンクのバックに黒のシルエット。男性はひざまずいて手の甲にkissしているので執事役なのだろう。 (大分ゴスロリによったイメージだな。こんなに伊丹さんの趣味反映させていいのかよ) あきれていたが、なんと実績が出始めたらしい。 2か月ほどすると本当に聞き出す事例が出始めた。 「彼氏できました」 「資格受かりました」 「内定取れました」 めでたい報告が続く。 SNSで本社のイベント、俺の口コミがバズったらしく、俺のアカウントが特定された。 いつの間にか承認要請が40件以上来ていた。 「あぶねぇ。鍵垢にしておいて本当に助かった」 「だねぇ。これでお前もイケメンの仲間入りジャン?注目される苦痛を一緒に味わおうぜ☆」 イケメン親友はとてもうれしそうである。そんなにも俺が注目を集める存在になったことがうれしいらしい。 「オレ、隅にひっそりいたいんだよっ」 「じゃそんなバイトとすんなよ。これ、物理のノート、どうせ最後まで写せてないんだろ?」 学校の女子に追いかけられているからノートを丁寧にとっていると鐘の鳴った瞬間に写真撮られて質問攻めだ。女子ファン回避のためになるべく逃げている。 「助かる。昨日の授業の奴、最後のとれなかったんだよ」 「で、オヤジさんも同じ仕事してんだろ?」 イケメン親友には事情を話してある。2年になったら周りに隠せなくなるかもしれないと思ったからだ。時間的な余裕がなくなるだろうし。 「フツメンなお前だと実感ないだろうが、個人情報は信頼できる奴にしか教えんなよ」 「女性の扱いにたけている男は言うこと違うねぇ」 「憧れた女子って見境なくなることもあるじゃん。オレはケー番3回売られているから」 「さすがイケメン。だからメアドも変更多いのか」 「流出先は特定難しいもんだぜ。人間不信にもなりたくなるぜ」 「オヤジさんにもSNS関係の使い方教えといてやれよ」 「りょーかい」 久しぶりにオヤジと時間が取れそうだ。 「そんなに人気があるものなんだなぁ。時代の移り変わりを感じる」 「かぁさんもわかったわ。おとうさんを全力で守るわ」 「……むすこの心配も多少はしてくれ」 「あなたはこれからですもの。自衛営頑張りなさい。自宅特定はされないようにしてね」 「にしても我が子がアイドルみたいになっていくなんて夢のようだわ。頑張ってね」 非常にうれしそうである。
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