高校2年へ

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執事役の男性にはノルマのようなものが課せられ、月に何人のお嬢様をもてなしたか張り出せれるシステムらしい。 (みたくねー。どうせ下位だろうよ) 「あれ、噂になっている彼じゃない!」 「伊丹チーフ」 伊丹秀美関東統括チーフプロデューサー。 伊丹さんの正式な肩書だ。長くて舌を噛む自信しかない。 「フロアに出て3か月で指名トップ5に入るなんてすごいじゃない!」 (その分男性執事からの嫉妬のまなざしも半端ないんですが) 「その調子よ。学業も頑張ってね。あと定期試験の前には知らせてね」 確かに定期試験前にはバイトはなしになった。 「どうせ、また100万制限が来てしまうのだからゆったりしたシフトでいいわ。それにあなたの評判はとてもいいから所属してくれているだけでメリットがあるわ。副支店長にも体に気を付けるように言ってね」 「はい」 ☆☆☆ キーンコーンカーンコーン♪ (終わった。手ごたえはあるが5教科1日で詰め込むとか強硬日程だよな) 「おつー」 「お疲れ。出来は?」 「まぁまぁだ。学年3位以内には入って見せるさ」 「流石」 (俺はそこまでいかない。30位から50位以内がせいぜいか。試験終わったら連絡しろって言われてたよな) 「バイト先に連絡しないと」ど 「そ。がんばー」 プルルル♪ 「はい。伊丹です。試験は終わったかしら?」 「はい。日程の調整でしょうか?」 「そうねぇ。今度の土曜、来れるかしら?」 「はい。大丈夫です」 「土曜はきっちりむくみ取ってや髪型決めてきてね」 「え?」 「わが社のポスター撮影があるから。そのつもりでお願いね。相手役は今話題のアイドルグループのASD41。霧崎あかねさん。当日、彼女のプロフィールわたすけれど、可能なら下調べをよろしくね」 「なんでプロの俳優さんをキャスティングしないんですか?」 「広告経費削減とわが社の執事たちの宣伝のためよ。よろしくね」 プッツン。ツー―ツー。 行くしかないようだ。霧崎あかねといえば今人気急上昇中のアイドルだ。 緊張する。 ☆☆☆ 約束した土曜日、いつものようにタキシードを着て準備OK。 「おはようございます。よろしくお願いします」 美少女は頭を下げる。やはり可愛らしい。 「よろしくお願いします」 まぁと霧崎あかねは感嘆の声を上げた。 「この方が祐というのですね。とてもかっこいいです。SNSでも話題になっていましたよ。礼儀正しくて声もかっこいいとか」 「恐縮です」 どうやら評判を見て指名されたようだ。有難いが、こんなにかわいい人に褒められるなんて経験がなくて照れてしまう。 「さて、撮影を始めましょうか」 はいと答えた霧崎あかねはまだ夢見心地のようだ。 (アイドルといえどやはり女の子なんだな) 俺は苦笑しながら仕事モードへと切り替えた。
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