高校2年へ

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「できたわよ」  伊丹チーフに呼ばれていわれたのだ。 「今話題の霧崎あかねにあんなに乙女な表情をさせるなんてさすが祐ね」 「そうですか。オレ、きれいに処理されすぎでは?」 パソコンの難せる業なのか俺の毛穴まできれいにされている。女優並みの肌の良さ。 (フツメンとは思えんぐらいにイケメン化されている) 「これ、本社近くのポスター張れる場所に置かせてもらうから」 「これを!?」 凡庸男子がポスターになるそうだ。霧崎あかねの手の甲にkissしているA4程度のポスター。売り文句は「彼に魔法をかけてもらいませんか?」だそう。 「実は先方からの申し込みだったのよ。声が好きなんだそう! マナーが良いらしい」 「え? 彼女って来店してくださいましたっけ?」 「彼女のお母さまが常連なんですってよ」 「ああ。霧崎真奈美様ですか」  子供がいるといってはいたが、それがアイドルとは。 押してくれてるのはSNS繋がりの女子高生から50代まで来る。 イケメン俳優ファンから声優さんのファンまで。 これを知った高校生の友人たちが騒ぎ出し、大変な事に。 「流石、祐君ね新しいことを提案してみようかしら」  伊丹チーフは目が金を求める商売人だ。 戦々恐々としながら家路についた。  高校2年の11月下旬になった。そろそろ学期末の試験だ。 「わかったわ。それと春休みはいつごろからかしら?」 「3月14日からですが」 「それまでぼちぼち週一で勉強していてね。企画、通りそうなのよ。そうなったら君にも参加してもらうから」 「かしこまりました」  伊丹チーフの試みとは動画と音声ファイルの配信だ。 本店トップ3の執事役を集めて動画と音声を取るようだ。 「これって声優とか俳優とかの領域では?」 「うちの広告費削減よ。 君たちの顔面偏差値とイケボと魔法企画の実績からみるに、 失敗する確率は限りなくゼロよ」  自信満々にいうチーフ。 「「「よろしくお願いします」」」 ボイスが20万ダウンロードを突破する事態になって高校のウリとなってしまう。 テレビにも出る始末。深夜枠だが全国ネットだ。 「成功のきっかけは?」 「チーフのプロデュースのおかげです」 「いいですね。ではこの人は困ったなというお嬢様やお坊ちゃまはいらっしゃいますか?」 「そうですね。お嬢様に関しましては大変良くしていただいて。感謝ばかりです。おばっちゃまに関しましてはお酒が入った状態でおかえりになられるのできちんと外出できたのか心配にはなりますね」  爽やかな答え方である。 「祐さんは親子で勤めているそうですが」 「そうですね。千葉で勤めております。皆様、会いに行けるようでしたら千葉のカフェでお待ちしております。会えるかどうかは何とも言えませんね。やはり毎日ずっと勤めるのは身体がつらいのだとか」
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