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ニコラ
「参りました、許してください」
バシュッ!
鮮血が飛び散る。ブオナパルテ王は、私達の目の前で跪いて命乞いをする相手の王の首を無慈悲に斬り落とした。見慣れたとは言え、心が痛む。
ともかく、これで今回の戦争も我がシャルグ軍が勝利を収めた。
だが、今日も沢山の命が失われた。田畑を荒し、幾人もの人生を終わらせる事に見合う対価なんてものは存在しないというのに……。だが、王にとっては、そんな事はどうでも良いのだろう。男として……王として生まれたからには勝ち続ける事が大切なのかも知れないと、私は今にも雨が降りだしそうな曇天の空を見上げながら思った。
私の名はニコラ、王と同じ30歳。先代の王が急逝してから、王と共に戦いの日々に明け暮れている。王は、とにかく強い。死を恐れず敵陣深くに自ら突っ込んでいき、相手の戦意を削いでしまう。だが、基本的に我々の部隊は弱かった。人数的にも能力的にも劣っていたので、負ける事は無くても、諦めて引き上げる事が多々あった。
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