ガルブ王国

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ガルブ王国

ガルブ王国は、我がシャルグ王国のように戦闘で大きくなってきた訳では無い。もちろん、兵士も鍛え上げられているのだが、攻め込んだりはしない。あくまでも自衛の部隊なのだ。町は平和な環境で税率も低く、暮らしやすい国と噂が流れ、他国から民が流れ着いてガルブ国民が増えていき、領土も徐々に広がっていった。 現国王であるバラク王も、もちろん平和主義者。素晴らしい人格者だと聞く。敵の私からしても殺すには惜しい存在だ。だが、間違い無くブオナパルテ王は戦争を選び、バラク王を殺そうとするだろう。 ガルブ王国の兵力は、我がシャルグ王国のおよそ10倍。それでも、我々が勝利すると思う。戦争というのは数では無い。戦略と覚悟だ。戦闘慣れした我々の軍に加え、ブオナパルテ王とジャンがいれば、平和ボケしたガルブ兵に負ける筈が無い。だが、相手国を含め、想像したくない程の被害者が出るだろう。私も今回ばかりは生きて帰れるかどうか……。 ブオナパルテ王は使者を送り、ガルブ国に明後日攻め込むという旨を伝えたようだ。だが、王は緊急会議の召集を掛けた。緊急会議は決戦前夜にしか行なわれない。つまり、ガルブ国には明後日攻め込むと伝えているが、王は明日攻め込むつもりだという事だ。 今回、私は乗り気では無い。今までの戦争も、もちろんそうなのだが、相手国の王が素晴らしい人だと知ると輪を掛けて憂鬱だ。だが、戦争もこれで最後。勝てば島全土を統一し、争いも無くなるだろう。 私は何とか自分を鼓舞し、士気を高めていた。
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