第四章 緑川麗奈

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由美ちゃんが笑うとわたしの胸は苦しくなる。わたしのことなんて全く気にしてないように見えているにもかかわらず時々振り返り心配そうにわたしのことを見る由美ちゃんの目にわたしの胸はチクリと痛んだ。 助けてほしいのに由美ちゃんは助けてくれない。それだったらそんな心配そうな目でわたしのことを見ないでほしい。 同情してますよ、なんてそんな目で見られると自分が哀れに見えてくる。中途半端な同情ならしないでほしい。 ああ、まただ……嫌な感情が溢れてくる。黒く濁った真っ黒な感情が溢れてくる。 わたしは溜め息をついた。済んだ過去のことなんてどうでもいいじゃない。わたしは自分自身に言い聞かせた。 とりあえず落ち着こう。 そうだ、ハーブティーでも飲んで落ち着こう。わたしは、手にしていた食器を掴み立ち上がった。 ちょうど食器を片付けていたではないか。このティーカップに美味しいハーブティーでも淹れてゆっくりしよう。
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