第三章 田本和子

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「あなたの罪は何ですかって? 麗奈ちゃんに意地悪をしたことですよね?」 それ以外に考えられない。 「わたしも中学時代麗奈ちゃんに意地悪をしましたがそのことですか? あなたは麗奈ちゃんに頼まれているんですか?」 里子がさやさんに聞いた。 「うふふ、そうね。そのことよ。わたしは罪人を成敗する仕事をしているのよ。まあ、麗奈さんに頼まれたという感じかしらね」 「あなたに何の権利があってそんなことを言っているんですか?」 「そうよ、さやさんに何の権利があるんですか? それにさや荘のオーナーといえども人の部屋に勝手に入ってきて不法侵入ですよ」 「うふふ、田本さん面白いことを言いますね。まあ、確かに不法侵入ですよね。でもね、このさや荘は罪人を集めて成敗するためのアパートですからね。不法侵入も大目に見てくださいよ」 そう言ってあはははーっとさやさんは笑った。 罪人を集めて成敗するアパートだなんてさやさんはおかしい。普通じゃないよ。森口さやは絶対におかしいよ。
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