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「あらあら残念ね。開けてあげることはできないわよ。田本さんと野川さんはこのさや荘でゆっく~りと胸に手を当てて反省するのよ。それと、楽しい友情ごっこをお好きなだけどうぞ~」
玄関の外からさやさんの声が聞こえてきた。
「どうしてよ! 開けなさいよ」
わたしは玄関のドアをドンドンドンと叩いた。
「和子ちゃんドアが開かないの?」
振り向くと里子が心配そうにわたしの顔を見ていた。
「そうよ、開かないのよ。さやさん開けなさい!」
わたしは、もう一度ドアをドンドンドンドンと叩いたが反応がない。
「さやさん、開けてください!」
里子も大きな声で叫んだ。
すると、
「うふふ、開けてあげないわよ。お二人で仲良くするのよ。さや荘で一度壊れた友情を築き直したらいいんじゃない」
さやさんはそう言って笑った。
「ふざけるな! 開けなさい」
「うふふ、開けないわよ。わたしは次の仕事があるのよ。次のお客様が待ってるかもしれないわね。では、ごゆっくりどうぞ~」
「ふざけないでよ! 新しいお客様って何よ?」
「うふふ、あなた達と同じように罪を犯したお客様がさやカフェに来店するかもしれないのよ」
さやさんは、玄関の外で楽しそうに笑っている。
「ふざけないでよ! 開けてよ、開けなさいよ」
わたしは、ドンドンドンドンとドアを叩きながら叫んだけれどドアが開くことはなかった。
「では、罪人よ。ごゆっく~りどうぞ」
さやさんのヒールの音がカツカツと廊下に響いた。さやさんは歩き去ってしまったようだ。
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