第四章 緑川麗奈

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 そうだこのエビピラフは由美ちゃんの家で食べた味にも似ている。由美ちゃんのお母さんが作るエビピラフもわたしのお母さんが作るエビピラフに負けないくらい美味しかったことを思い出した。  由美ちゃんこと相田由美とは小学校からの友達で小学生の頃は家を行き来する仲だったけれど中学に上がるとクラスが離れ疎遠になっていた。だけど中学三年生になると再び同じクラスになった。  わたしは由美ちゃんと同じクラスになったことを喜んでいたのに……。  由美ちゃんは……。  また由美ちゃんと仲良くできるのかなと思っていたのに……。  あのクラスで田本和子にいじめられていたわたしを由美ちゃんは助けてくれなかった……。  このエビピラフは懐かしくて幸せな味と悔しくて辛かった思い出を同時に思い出させる。  そんな思い出と一緒にわたしはエビピラフをもう一口食べた。  すると涙がぽろりと零れた。
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