第四章 緑川麗奈

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 わたしは気がつくとさやカフェの奥にある事務室のソファに座っていた。  テーブルの上にはさや荘の間取り図と賃貸借契約書が置かれている。 「うふふ、気に入ったいただけましたか? あ、そうそう自己紹介がまだでしたね。わたしは森口さやと申します」  店員さんこと森口さやさんは薔薇のような微笑を浮かべた。 「わたしは緑川麗奈と申します。このさや荘に住みたいなと思います」  わたしも自分の名を名乗り頭を下げた。 「緑川麗奈さんですね。さや荘を気に入って頂きありがとうございます。では、緑川さんこの賃貸借契約書にハンコを押してください」 「あ、はい……」  わたしは賃貸借契約書に捺印を押した。 「うふふ、これで緑川さんもさや荘の住人ですね」  森口さんはわたしから賃貸借契約書を受け取り満面の笑顔を浮かべた。 「はい、これからよろしくお願いします」  こうしてわたしはさや荘の住人になったのだった。
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