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辛くても悔しくてそして憎くてもずっと耐えてきたのだからわたしは最後まで逃げない。
ここで逃げて帰ると負けだと思った。だからわたしは、田川和子が何をするのか最後まで見届けるまで帰らない。
わたしは拳を強く握り締めた。
クラスメイト達が卒業アルバムのわたしの顔写真をぐにぐにぐにーと黒マジックで塗りつぶしている異様な光景を映画のワンシーンでも見るかのようにただぼんやりとわたしは眺めていた。
この人達は悪魔の集団なのかもしれない。人間ではないからこんなことが出来るんだね。きっとそうなのだ。人間の仮面を被った悪魔達がこの教室の中に居るんだ。
皆が同じように黒マジックを動かしている。黒マジックを動かしている。黒マジックを動かしている。あの人もこの人も黒マジックを動かしている。
クラスメイト全員が黒マジックを動かしてわたしの顔写真を塗りつぶしているのだった。なんて光景なんだろう。
わたしは唇をぎゅっと噛みしめて俯いていたけれど、それもなんだか馬鹿らしく感じてきたのだった。
哀しくて辛い気持ちも馬鹿の一つ覚えのように皆が同じ行動をとっている姿を眺めているとなんだかおかしくなってきた。
だって、皆は田本和子の指示に従いわたしの顔写真を塗りつぶしているのだから。
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