第四章 緑川麗奈

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そんなあの頃の風景が甦った。思い出す度に胸がズキーンと痛んだ。この卒業アルバムを見ると嫌な思い出が甦ってくる。 だから、このダンボールに入っている卒業アルバムは捨ててしまおうかなと考えた。見ると吐き気がする。 わたしは、卒業アルバムが入っているダンボールを脇に避けて他のダンボールの片付けに集中した。 だけど、考えないようにしてもあの教室での不気味な光景を思い出してしまうのだった。わたしの顔写真を塗りつぶしているクラスメイトの姿が真っ黒な悪魔に見える。 真っ黒な悪魔のような生き物がうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃいる。 そんな、真っ黒な悪魔のような生き物達が黒マジックを動かしている。 黒マジックを動かしわたしの顔写真を塗りつぶしているのだった。 わたしの顔写真を塗りつぶしているのだ。思い出したくない、考えたくないのに思い出してしまう嫌な光景が頭の中に浮かんでは消える。真っ黒な悪魔達が頭の中に浮かんでは消えるのだった。 そんな真っ黒な悪魔達の中でももちろん田本和子は憎いけれど、由美ちゃんのことがもっと憎い。
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