第四章 緑川麗奈

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わたしは気持ちを落ち着かせようとラベンダーティーを選んだ。そして少し濃いめに淹れた。ラベンダーの強い香りが今のわたしにはちょうど良い。 ティーポットからティーカップにラベンダーティーを注ぎ飲んだ。 すると心がすっと落ち着いた。良かった。あの中学校の卒業アルバムがあるからいけないんだ。 だって最近のわたしは田本和子のことも由美ちゃんのことも忘れていたじゃない。あの卒業アルバムは捨ててしまおう。そうしよう。 そう考えたところでふと思った。 田本和子のことも由美ちゃんのことも忘れていたと思っていたけれど本当にそうだったのかなと……。 ああ、だけど、あの頃のことはもう考えたくないのだ。忘れていたのか忘れていなかったのかなんてどちらでもいいじゃない。 わたしは、ラベンダーティーをもう一口飲み心を落ち着かせた。うん、とても良い香りがする。 今日は早めに寝よう。卒業アルバムのことなんて考えないんだから。わたしはゆっくりとラベンダーティーを飲んだ。
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