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第一章 相田由美
わたしがそのカフェを見つけたのは偶然だった。コーヒーの香ばしい香りに誘われてふらふらと引き込まれた。
疲れた心と体を癒してくれるホッとする香りがふわふわとそのカフェから漂ってきたのだ。
気がつくとわたしは木製のカフェの扉を開いていた。カランコロンとドアベルのよい音が鳴った。
「ようこそ、さやカフェへ」
上下黒色のスカートスーツをビシッと着こなした長い黒髪が綺麗な女性が両手を広げ微笑みを浮かべた。
「お好きな席にどうぞ~」
その女性はにっこりと微笑みを浮かべた。唇に塗られた赤リップが印象的だった。
わたしは、窓際のカウンター席に座った。テーブルの上に置かれているメニューに手を伸ばしぱらぱらと捲った。
紅茶と一緒にケーキを食べようかな。ミルクレープもいいけどチョコレートケーキも食べたいな。ウキウキしながらわたしはメニューに載っているケーキの写真を眺めた。
その時、不思議な言葉が目に飛び込んできた。
これは……。
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