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1 人生を生きているか!?
どうしようかと若者は思った。
褌の上からわがイチモツにそっと触れた。
腫れている。
股間の奥のほうから、なにやら鈍く不気味な痛みが突きあがってくる
どうも様子がおかしいと気付いたのは二日程前だった。
それでも今朝まで女な子と戯れていた。
射精の快感すら、濁った澱みの不快さを伴うものとなった。
尋常な状態ではない気がした。
月明かりに眼を凝らしよくよく褌を見ると、ナニがあたる部分がジットリと黄ばんでいる。
触れるとドロリとしていた。
わがイチモツをつまみ出し先っぽを覗き込んだ。
汚く濡れている。
残尿とは違う。
タラリタラリとだらしなく垂れ流れているのは・・・。
膿だ。
指先でそっと触った。
ヌルリとした感触に鳥肌立つ思いがした。
においを嗅いだ。
臭かった。
鼻がひん曲がりそうだった。
(どうすらええんじゃ)
独りごちた。
土佐藩下屋敷のお長屋の生垣の片隅で、若者は苦渋に満ちた表情で溜息を吐いた。
縁側に座ってなにやら話し込んでいる人影がある。
あいつらには頼りたくない。
けどあいつらしか頼れる者がいない。
仰ぎ見た月が雲に隠れた。
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