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4 吉原三昧でやんす!
少しやりすぎたかもしれない。
あまりの竜馬の意気消沈ぶりに半平太も重太郎もあきれるのを通り越して、ちょっとかわいそうになってしまった。
唇を震わせながら半平太の質問に竜馬は丁寧に答えていく。
この一ト月に何人の女な子を相手にしたんじゃと言われても、竜馬は見当もつかなかった。
十人、十五人、二十人・・・、いや指折り数えることなどできはしない。
霧笛楼の桐壺さんが最初の相手だった。
それが筆下ろしだった。
「リョウマくんて筋がいいわ、」
そう褒められたのがきっかけで、張り切ってしまった。
夕霧しゃんの技はスゴ過ぎた。
明石ちゃんはきめ細やかに尽くしてくれた。
葵ドノはなんと言っても大胆不敵で・・・思い出すとムックと下半身が持ち上がってくる。
そうすると疼くのだ。
ダラダラとナニの先っぽから膿が垂れ出るのがわかる。
「・・・・しかし、霧笛楼にしろ大栄館にしろ枕やにしろ、いわゆる郭内遊廓じゃあこんなことにはならんのじゃけどなぁ、」
吉原は半平太にとっても庭みたいなものだ。
そもそも最初に竜馬を連れて行ったのが半平太であった。
「最近は素人娘のほうが危ないという噂もありますが、」
桶町の貴公子という異名があるだけに言われるだけに、重太郎もその道にはかなり造詣が深かった。
「・・・・にしてもよ、一ト月余りのうちに次から次へと廓の中をハシゴしてサカッてサカッてサカリまくって姦りまくっとったら・・・・、」
(サカルとか姦るとか、まったく半平太のその下品な物言いはなんとかならぬものか)
小竜先生曰く、メリケンではメーク・ラブと言うらしい。
その響きのなんと流麗なことか。
「そうですねぇ、姦りまくってれば・・・・、」
(重太郎殿も半平太と同じ穴の何とかかよ)
「確率から言って、大当たりッちゅうことになるわいなぁ、」
(大当たり!?どういうこっちゃ!?)
「心当たりはないかえ?サカッてサカッて姦りまくって貰った相手のよ、」
「・・・貰う?」
何のことか竜馬は意味がよくわからなかった。
「病気ですよ、」
重太郎がさりげなく口にした。
(ビョウキ!?)
竜馬はドキッとした。
(何かだとは思ったが、そうか病気か・・・)
「性病じゃ、」
半平太が投げつけるように言った。
(せいびょう!?)
「病状を聞くところによると、たぶん淋病でしょうね、」
「りんびょう・・・」
「淋しい病いと書きます、」
ズドンときた。
その通りだと思った。
頭の中がクラクラした。
「不特定多数とサカリまくると、時々貧乏籤ひくベコノカアがおるんじゃ、」
「・・・」
「でだ、七日ほど前にサカッた女な子のことをちと思い出してほしいんじゃが、」
(七日ほど前・・・)
春日屋で大奥遊戯に興じたのは五日前。
藤壺館で光源氏遊戯をして乱れまくったのは十日前。
鞭と縄と蝋燭で・・・・。
「!」
思いつくことがあった。
(七日前といえば・・・)
「心当たりがあるのですか?」
竜馬は頷いた。
夕涼みをしていた時だった。
小川の畔をブラブラ歩いて西風に吹かれていたら、聞きなれぬ三味の音が流れてきて・・・。
(ついフラフラッと着いていってしもうた・・・)
美しい女な子だった。
透き通るような白い肌が今も鮮明に脳裏に浮かぶ。
吐く息はどこまでも甘く、蠢く舌は蛇のように絡みつき、上になったり下になったり、これまで経験したあらゆる技巧を凌駕せんばかりのものだった。
官能した。
究極の技に導かれて昇天せんばかりだった。
「夜鷹じゃ、」
と半平太は言った。
「ああ、よかった、ウフフフ・・・」
と竜馬はニヤケた。
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