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食事を終えて部屋へ…。
ベッドに腰掛けると
宗介の顔が浮かんだ。
宗介が最後に言った“せんみつ”。
大阪からの帰りの車の中、
鈴子に意を尋ねた。
「“嘘つき”やけどニュアンスが
ムズいなあ…どんな嘘つきでも
千の内三つ位は真実があるとか
…いうふうに使う人もいるし。
まあ人間、嘘ばかり真実ばかりで
生きとるわけないやん?
心の難しさを示す言葉やね」
宗介と同じ柔らかな関西弁が
恋の終わりを私に教えた。
明日から駿太のために
料理して、洗濯して
一緒に朝を迎えるうちに
宗介は遠い人になるだろう…
想い出の破片が三粒ほど
私の胸を疼かせながら…。
ー 了 ー
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