ガラス細工の恋だから

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春夏秋と季節は巡り 社会人2度目のXmasがきた。  「見て!雪のイブ!」 誰かの言葉に目をやる窓、 淡い雪に溜息。  「なんや?イブやで。   溜息つかんでたも   夜はデートやろ、ハハハ」 宗介が茶化す。 “誰のせい”の溜息かも知らず…。  「そんな相手、いませんよ」 唇を尖らせると  「そしたらもう一仕事、   頼むとするか」 宗介が出してきた書類は 元重役の社葬の段取り表。  「年明け早々になる」 やや迷惑そうに小声で 言って笑う宗介の大きな瞳に 映る自分が嬉しくて…。 それから  「社葬て言うても現役重役では   ないから、簡素かな…   俺と花梨ちゃんだけで   段取りしよか?」  「はい!」 葬の字が付くと言うのに 弾んで答えてしまっていた。
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