ガラス細工の恋だから

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新しい勤め先は弁護士事務所。 総務で会社の裏方仕事を みてきたことも役立つし、  「司法書士の資格を   取りたいから」 親や宗介にも それを言い訳けた。  「なら、勉強頑張れよ」 宗介は転職祝いにと ガラス製の小さな置物を プレゼントしてくれた。  「ログハウス?かしら?」  「社員旅行で浜松の   オルゴール館へ寄ったから」 不意と思い出した… 以前、埼玉の土産物屋で 自分の子供達への土産を 選んでいた宗介。  (今度も子供さんにも…) 会ったこともない宗介の家族が 宗介の横に視えてしまう… これが現実。 喜びと隣り合わせに切なさがある。 不安を拭うように 宗介を求めれば 激しい抱擁が包んでくれる…。 2時間後には 独りになる部屋に 宗介の息を閉じ込めるように 夢中で唇を吸う…。  「会いたかった…」 彼の囁きの向こうに ガラス細工の家が ・・・煌めいていた。   
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