ガラス細工の恋だから

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互いを労った後、 ポツポツと解散…。 更衣室から戻ると 宗介は独り、デスク横の 小さなソファで 寝息を立てていた。 大仕事を終えたその顔が 生意気ながら可愛く、愛しく思えて 普段自分の使う膝掛けを そっと身体に被せると 宗介の手が動いた。 「あ…つい寝てしもた…  皆帰ってたか…」 「すみません、起こして」 「餅たらふく食う夢  見てたわハハハ  埼玉に帰れんかったやろ?  ごめんな、親御さんも  待ってはったのに」 「大丈夫です。学生の時も  スキーや海外で帰らないことが  多かったし」 「なら余計、この帰省、  楽しみにしてはったやろ…。  なんとか埋め合わせをせんと」 穏やかな関西弁は 宗介の人柄そのものだと 改めて思った冬の午後。
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