前夜

2/9
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 どうして同じ心のままでいられないのかな。好きになったときは、彼だけがキラキラして見えて、智也のどんなところも素敵に感じた。欠点だってそうだ。他の誰かだったら受け入れられないのに、好きな人の欠点だったら許せてしまう。毎日学校に行くのが楽しみで、知らない智也の一面が見えるたびに嬉しくて、どきどきして、ますます好きになった。片想いって、特別な眼鏡をかけてる感じ。好きな人だけが輝いて見える眼鏡だ。    付き合いだしたときがもしかしたら幸せの絶頂なのかもしれない。片想いの眼鏡が外れると、少しずつ智也の欠点が見えてくる。考えの違い、これは当たり前のこと。でも、付き合ってみないと分からないことも沢山ある。それでも、四ヶ月間はただ一緒にいられるだけで幸せだった。とにかく智也といられる時間を作った。毎日がハッピーで、自分はなんて幸せなんだろうと思った。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!