名前で呼ばねぇでくだせぇよ

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 手伝ってくれたアシ君はもう、この世にいない。 あの夜の後、彼も主任に出世して多少の恩恵を受けたのだが、上司である父の逆鱗に触れて始末されたのだ。 父お気に入りのキャバ嬢と楽しげに話したからという、超くだらねぇ理由で。 キャバ嬢だってキモヲタ中年オヤジより、同世代の男の方が話も弾むだろう。  気に入らない人間を殺す事なんか、親父はもう屁とも思わない。 あの夜の母みたいに、アシ君は坂浦組が常備する日本刀でめった刺しにされたのである。
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