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♢♢♢♢
そして
復讐を決行する前夜である今夜
復讐の決意を固めるために
私は彼との結婚式のために
伸ばしていた長い髪をバッサリと切り
黒のキャップを深めに被って
姿見の前に立って
自分の姿を見つめていた。
「絶対にアイツを殺してやるから…
見ててね、龍二」
有段者であるアイツを殺すためには
かなり慎重に計画を練らなければ
ならなかったが、幸い彼の父親が
病院を経営していたからスムーズに
事は運んでくれた。
後は、彼の同僚や後輩たちの
協力を得ることが出来たから
明日、アイツを殺すことが出来る。
明日はアイツの誕生日だから
誕生日パーティーを装って
アイツに睡眠薬入りのお酒を飲ませて
計画を実行する。
きっと、きっと
上手く殺れる。
彼の無念を晴らす為にも
きっとアイツを殺してやる。
私がベランダから夜空を見上げると
明日は雨の予報だから
分厚い雲の隙間から少しだけ
月明かりが街を照らしていた。
【END】
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