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「だって、この間言ってたよね?」と首を傾げると、思い出したように「ああ…」と頷いた神代くんは、今度はクツクツと笑い声を漏らして、
「あはは、聖奈さんって意地悪だね。」
「え?」
「あれは、好きでもない人と食事するのはお礼にならないって思ったからそう言っただけ。」
「…」
「聖奈さんとの食事なら、俺にとってご褒美にしかならないって…分かってるでしょ?」
「…そんな、こと、」
否定しようとする私に爛々とした瞳を向けて、「ずるーい、性格わっるーい」とイジってくる彼の方こそ性格悪い…!
本当に、そんなつもりはなかったのに…!
恥ずかしいやら、腹立つやらで、顔を赤くして神代くんを睨むと、
突然「決ーめた」と気の抜けた返答が返ってきて、思わず「何をよ!」と苛立った声で聞き返してしまう。
「明日、俺の家来てよ」
「え?」
「聖奈さんからのお礼。俺は聖奈さんとの時間が欲しいな?」
「…、」
やや首を傾げて放たれた微笑みの攻撃。まんまと心臓を負傷する。
続け様に「ダメかな?」なんて悲しげな顔は…絶対絶対、確信犯!
歳下の特権まで使ってくるなんて…!
やっぱり私よりも100倍は性格悪いって!
「いや、時間…って、神代くんの家に行く必要ある?…外でご飯食べるとか…」
「ダメ、俺の家。もっと言うなら手作り食いたい。」
「…な、」
ニコニコとご機嫌で、既に強引スイッチの入っているらしい神代くん。
こうなると絶対に言うことを聞いてくれないことをここ最近で嫌というほど思い知らされている。
「仮に、これで断られても、俺にはもう一つの手があります。」
そう言って、ポケットからスマホを取り出し顔の横にかざす、何度目か分からないこの光景。
やっぱり性格最悪じゃない…、!
「あの、それって私に選択肢ってなくない?!」
「ご名答。分かってるなら明日、俺の家、ね?場所覚えてる?」
「お、覚えてるけれども…!」
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そんなこんなで…ようやく、冒頭に戻る。
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