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ダメ、こんなやつに振り回されたらダメなのに…。
「…もう、邪魔だからあっち行ってて」
「手伝わなくて良い?」
「あんたに手伝わせたら、私なんのためにここに来たのよ!いいからゆっくりしてなさい」
しかめっ面で神代くんの腕を押してキッチンから追い出した。
「ふふ、はーい。…こうやって怒られるのも、ちょっと嬉しい。」
「は?」
ニコニコ笑いながらソファーに向かう神代くんをカウンターキッチンから見つめると、「だって…」と嬉しそうに目を細める。
「また聖奈さんが来てくれて嬉しいから。…ごめんね?聖奈さん。
…俺気持ち悪いくらい浮かれてるわ。」
「…っ、」
咄嗟に「馬鹿じゃないの?」と顔を逸らせば、「馬鹿なんでしょうね」なんて余裕そうに呟いて。
そんな彼に早くなる鼓動、熱くなる頬、返す言葉を必死に探す脳。
全てが彼を意識して、全て彼に反応する。
こんなことは、異常で…。
…自分でも分かってる。もう、無視できないほどに感情が揺さぶられてしまっている。
私、…私は、
この生意気で性格の悪い後輩に、猛スピードで惹かれてしまっている。
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