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神代くんは私に好きだ、と伝えてくれているが、ダメ男ばかり引き寄せてきたこの私だ。
「実は彼女います。でも、聖奈さんも好きなんですよ、二番目に。」
なーんて、ことも無いとは言い切れないのだ。
面倒くさいことなんて百も承知。臆病、意気地なし、悪口なら全部正面から受け止めてやる。
…もう、傷つきたくない。信じて裏切られるなら…一生疑って、警戒して生きた方が…よっぽど人生楽なんだもん。
2口のIHに鍋とフライパンをセットする。
うちはガスコンロを使っているから、火の加減に苦戦しながらも、パスタを茹でている間に野菜とベーコンを炒めた。
手料理をつくる、と言いながらこんなに簡単なものでいいのか?って悩んだけど、初めての手料理で張り切って気取った料理作るのは…なんか逆にダサくない?とか、
普通に考えすぎ。普通に痛いし、ダサいよ。分かってる。
でもさ、お昼ご飯だし。
人様の家でそんなに時間かけて作るのも申し訳ない気がするしさ。
頭の中でたくさん言い訳をして、出来上がったパスタは和風のオイルパスタ。
醤油ベースに少しだけニンニクを入れるのがポイント。
一応手料理を振る舞う、ということなので、冷凍のシーフードミックス入れた、ちょい豪華仕様。
「出来ました、けど。」
「おーうまそー」
適当に食器棚から拝借した器に盛り付けてリビングに持っていくと、子どもみたいに瞳を輝かせる神代くん。
…く、可愛いじゃないか…、
同棲期間が長かったこともあって、元彼が私の料理に反応してくれることなんてなくなっていた。
だから、こうやって反応してもらえるだけで軽く感動すらしちゃう。
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