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唇で触れて軽く吸い上げられるたびにピクピクと跳ねる体。
べーっと出された舌が敏感な場所を引っ掻くと、霰もない声が部屋に響く。
慌てて両手で口を押さえると、身体を起こして私を見下ろす神代くん。そのあと意地悪に笑うと、手の甲にキスを落とした。
「せっかくの可愛い声、もっと聞かせてよ。聖奈さん」
「…む、むり、恥ずかしい…」
「俺しか見てないし聞いてないよ?」
「…あんたが見てるのが…恥ずかしいんで…しょうが、」
目を逸らして、手のひらの内側でボソボソとつぶやくと。
「恥ずかしがる聖奈さんも全部味わいたいの。」
「…、」
「ほら、いいから…声聞かせろよ。」
「…っ、な、」
私の指を噛んで、上に持ち上げた彼に目を見張る。
命令口調にムカつくのに、Sっ気を発揮する彼にドキリと跳ねる心臓が悔しすぎる…。
「ふ、…あ、」
「聖奈さんの胸、吸い付いてくる。色も形も大きさも、全部俺好みです」
「…き、きもい…、黙ってしなさい、よ…変態…!、…ん、」
「可愛い声漏れてるよ。可愛い、大好き聖奈さん」
再び胸を弄びながら、こちらを見上げてクスリと笑う。
ずるい、ずるい、ずるい…。
私はこんなに必死なのに、恥ずかしくて死にそうなのに…
どうして彼はそんなに余裕なのか。
普通、好きな相手とこんなことするなんて…緊張したりしないの?
本当に好きだったら、そんなに簡単に好きだなんて口に出来ない、きっと。
私が可愛い、なんて…そんなわけないじゃん…、
頭に次々に浮かぶ言葉は否定的なものばかり。
このネガティブ思考は、自分を守るためのクッションみたいなものだ。
でも、…
「聖奈さん、すげー綺麗。」「可愛い、」って、何度も何度も。
宝物でも見るみたいな優しい温かい瞳で伝えてくるから…。
そんなことをされれば、信じざるを得ないじゃないか。
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