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モゾモゾと布団の中に入ってくる神代くん。
座っていた私の腰も引っ張り込んで、半ば無理やり腕枕をしてくる。
予想と違う展開に戸惑っていると、神代くんはまたため息をついて。
「すげー不本意だけど。でも、前なら『付き合うわけない』ってはっきり言ったでしょ?」
「…それは、」
「それが、答え迷ってくれるなら進歩かなって。」
「…、」
「それに…まだ、…元彼のことチラついてるみたいだし?」
私の考えていることなんてお見通しらしい。
私の方が年上だっていうのに、何もかも神代くん主導で本当に情けない。
罪悪感に胸を痛めれば、すかさずギュッと優しく抱きしめられて…それさえも伝わってしまった?と。
いつもはぼーっとしているくせに、こんな時だけ人の気持ちに敏い彼が、ほんのちょっと恐ろしい。
「大方、俺が元カレと同じみたいになるんじゃ…って疑われてるみたいっすけど。」
「…えっと、」
「なんも言わなくていいです。
ノーと言われないなら、信じてもらえるようになるまで待つから。」
私のわがままなのに…ここまで私の気持ちに寄り添ってくれることが嬉しくて…涙が出そうなほど、嬉しくて。
震える心臓を抑えて、胸元から彼を見上げれば、
「近道しようが、廻り道しようが…、ゴールはどうせ一緒ですから。」
って、自信たっぷりな笑顔。
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