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君とお部屋探し
「こちら、ご希望どおり1LDK、南向きのお部屋になります。」
「へー、いいっすね。日当たりも良くて」
「リビングが広い作りになっておりますので、お二人で棲まれるのもそこまで窮屈感はないかと思います。」
「そーですね。カウンターキッチンもいい感じ。」
「もしよろしければ、この2階上のフロアに2LDKのお部屋がございまして、そちらもご覧になられませんか?」
「じゃあ、お願い…」
「…しません!」
冒頭から、神代竜聖が暴走しておりますが…
我々、決して同棲するなんてことになったわけではございません!
元彼と別れて1ヶ月。
何かとバタバタで未だに悪しき彼との同棲部屋に住んでいた私だったが、1ヶ月後に行われる社内コンペの準備でこれから死ぬほど忙しくなるため、その前に引っ越しをしようとようやく新居探しに乗り出した。
…のだが、
「私の新居探しになんであんたもついてきてんのよ!」
例の如く神代くんに家に誘われて、新居探しに行くからと断ったところ、何故だかこの男もついてきたのだった。
「えー、聖奈さんがどんなところに住むのか気になるじゃん。防犯面とか心配、聖奈さんゆるゆるだし」
悪びれる様子もなく、ウロウロと部屋を物色し始める神代くんに奥歯を噛む。
「あのねぇ、私あんたより4つも年上なんですけど?心配無用ですー」
「あはは、ご冗談。信憑性無さすぎ。放っておいたらやばい男に不法侵入されちゃいそうじゃん聖奈さん」
「…う、」
神代くんには元カレのことやら井上さんのことやら、色々と知られているから確かに強く否定はできない。
私が狼狽えている間に、「お、収納広ーい」なんてご機嫌にキッチンの収納チェックを始める彼にため息をついた。
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