君とお部屋探し

3/17
前へ
/463ページ
次へ
ジリジリと近寄ってくる神代くん。私は表情を引きつらせて後ずさる。 「聖奈さん、キスしたい」 「…む、むり」 どストレートに言われても、OKするわけがない。 「あんた、猿か。二人きりになった途端にそんな…」 「んー、どうとでも言って?好きな人が触れる距離にいて、我慢できるほど大人じゃないんです、俺。」 ぺろりと舌なめずりをするコイツは本当に危険。 初めて繋がったあの日から、事あるごとに家に呼ぶし、職場でも人目のないタイミングを盗んで、ちょっとした悪戯でもするように触れるだけのキスをしてくる。 あんたはいいよ?私にそんな悪戯を仕掛けたって、ポーカーフェイスですぐにバリバリ仕事できるんだから… でも、私はものすごい動悸に襲われて、火照る頬の熱が冷めるまで自分の席に戻れないんだから…仕事に非常に支障が出るわけで。 「あんた、やってること井上さんと変わんない…からね?!」 「えー、それは心外だわ。じゃあ、毎回満更でもない可愛い顔する聖奈さんも同罪ね?」 「は、は?!誰が…満更でもない…顔を、」 「ふふ、今もしてるよ、満更でもない顔。」 「っ、」 顎を掴まれてクイッと上を向かされた瞬間、窓際の壁に背中が触れ、完全に逃げ場を見失う。 「すぐに顔赤くするのも、恥ずかしそうに目を逸らすのも、」 「…、」 「その後に真っ直ぐこっち見つめてくるのも、全部俺のこと誘ってるとしか思えないんだよね。」 「…そ、そんなわけ…」 「口、開けて?聖奈さん」 「…んぅ、」 近づいてくる綺麗な顔。低くよく響く声が鼓膜を揺らすと、不思議と従わずにはいられなくて。 すぐに差し込まれた舌が私の舌に絡みつく。
/463ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8439人が本棚に入れています
本棚に追加