君とお部屋探し

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何一つ家具の置かれていないガランとした部屋。 その片隅で、繰り返される私をおちょくるような深いキス。 誰も見ていない、二人だけの…この見慣れない密室で。 イケナイことを…してしまっている。 そんなの、ダメなのに。不動産屋の人だっていつ戻ってくるか分からないのに…。 心のどこかでそのスリルに…少しドキドキしてしまっている自分が確かに存在していて、恥ずかしい。 「ん、ふ…ぅ」 「ふっ、可愛い声出しちゃって、」 小さく笑って私の腰を撫でた彼に、今にも腰が砕けそうになって… そ、そんな…まさか、ここで?! 驚いた私は慌てて彼の胸を叩いて抗議した。 「…ね、神代、くん。 ダメ…だよ、本当に、これ以上は、」 唇を離した彼がふふっと笑いながら私の視線に合わせて腰を曲げる。 「…これ以上、って。どこまで想像したんですか?聖奈さん」 「え?」 「俺は、ちょっとキスしたくなっただけだよ?」 …なんて、白々しいにも程がある。 「うそ、つくな…、い、いま…腰触ったじゃん…すけべ」 「聖奈さんの腰が抜けそうだったから支えただけ。スケベに感じたなら受け手側の問題じゃない?」 「…っ、ううう、小賢しい…」 嘲笑うような瞳が腹立たしい。 奥歯を噛んで、真っ赤な顔で神代くんを睨めば、目を細めてにっこり。 「期待、したんでしょ?」 「期待、じゃない!」 「ふーん。そ?」 首を軽く傾げて、再び私の腰を引き寄せた彼は、 「じゃ、確かめてみよ。」 「…っ?!!」 軽いトーンでそんなことを言うと、筋張った手で私のスカートを捲り上げた。
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