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「で、結局、部屋はどうするんすか?」
「…」
私が半ば無理やり渡したウエットティッシュで手を拭きながら、涼しい顔で話しかけてくるこいつは…
今、ここで、何が起こっていたか。覚えているんだろうか?
背後にいる神代くんを顔だけ振り返って睨みながら、必死に床を拭く私に、「床に垂れるほど濡れたんすか?」って…
垂れてねーよ…!なんとなく、罪悪感がものすごいから、我々が座ってた場所を必死に除菌してんだよ!!!
心の中でブチギレると、ふんっと顔を背けて一心不乱に床拭きに集中する。
誰のせいで…こんなことにぃぃぃ〜、
ムムム、と顔を顰めるが、暫く経つとすぐにため息をつきながら脱力。
誰のせいで、って。
始まりは神代くんでも、途中許してしまった私も十分悪いわけで。
反省、反省、大反省。
4つも年上なのに、誘惑に負けてどうする。しっかりしろ、秋月聖奈…!
「ねぇ、聖奈さん」
「何よ、」
「…」
さっきの今で、どんな顔すればいいのか分からず、不機嫌なふりでそっけなく返せば、神代くんから続く言葉が出てこない。
どうしたのかと、少しだけ心配になって、彼の方を振り返ろうとすれば、
「…っ、」
「ね、怒ってんの?」
振り返るより早く、背後から肩に乗った彼の頭。
声には、ほんの少しの不安が混じる。
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