君とお部屋探し

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付き合う前は、優しかった。 私のことが大好きって顔をしていた。 「まだ、好きまでいっていないかもしれない」と正直に伝えた私に対して、「大丈夫、これから好きになってくれれば。好きになってくれるように頑張る」って。 周りも認める好青年、連絡もマメで。 …みんな、そうだった。 今度こそ大丈夫だ、って…そう思った。 でも…、 「ダメなの…、」 「…、」 「一緒に…住んだら、…ううん、付き、合ったら」 「聖奈、さん…?」 貶される、怒られる、殴られる、浮気される…、 嫌なの、期待して…今度こそ、って思っても、どうせ…裏切られるの。 「わ、私がね…、悪いの、きっと。」 「…」 「みんなが、みんな…付き合ってから人が変わっちゃうのは、私の何か…、悪いところがあったからなんだ。たぶん。」 「もう、いいよ…聖奈さん。」 「神代くんも、…付き合ったら、分かるかも…、私の悪いところ。 嫌になって、私のこと嫌いになって…怒鳴りたくなる、浮気、したくなる…かも、」 ただ、「無理」とか、「いや」とかの言葉じゃなくて、真っ直ぐな神代くんにいい加減真っ直ぐに返さなきゃと思ったんだ。 神代くんの気持ちを見ないふりしたり、避けたり、そんなことをもうしたらいけないって思ったから、必死に自分の中にある言葉を紡いでいく。 …でもね、自分でも、あまり向き合いたくない感情…でね? いつも、必死に強い女のふりをしている。 男に負けないくらい仕事頑張って、弱みを見せないように振る舞って。 だけど、中身は…どう? 怨霊みたいに頭の中に住み着く元カレたちはいつまで居座るの? 未練なんて1ミリもないけれど、代わりに恐怖の記憶だけは脳裏にべったりと張り付いている。
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