8月(3)(※)

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8月(3)(※)

 部屋に戻る前に、直紀がタバコを吸いたいと言う。 「お風呂、先に入ってるよ。」 直紀は、うん、とうなずいて、喫煙所へ向かった。 麻衣は、部屋へ戻る廊下にある売店に目を留める。風呂上りに飲もうと、水と軽めのアルコール飲料を買って、部屋に戻る。 部屋に備え付けの小さな冷蔵庫に買った飲み物を入れ、ケータイを見る。とくに急ぎの内容がないことを確認した後、部屋付きの風呂へ向かう。  浴衣を脱いで、ゆっくりと洗い場で体を洗い、湯につかる。直紀は、まだ帰ってこない。しばらく待っても戻ってこないので、のぼせるまえに、と風呂から出る。もう外には出ないしと、下着を着けずに浴衣を羽織る。  テレビをつけて、冷蔵庫から出した飲みもので喉を潤す。少しすると、直紀が戻ってきた。 「おそい・・・」 「ごめん・・・最後の一本のつもりが、二本になっちゃった。」 そういいながら、直紀は風呂へ向かう。 「匂い落としてくるから」 「うん・・・」 麻衣は、飲みながら直紀が風呂に入っている様子を見ていた。時々目があって、顔がゆるむ。 部屋に戻ってきた直紀は、麻衣の手から缶をとる。 「あ、もう結構飲んでるじゃん・・・」 「うん、おいしくって・・・つい。」 「こら、飲みすぎると・・・」  麻衣は、直紀の言葉を遮るように立ち上がると、布団のうえに座った。帯を解いて、するりと浴衣を肩から落とす。お酒の力を借りて、いつもより大胆になる。心拍数が上がっているのは、お酒のせいだろうか。直紀に、してほしい。直紀のものに、してほしい。この気持ちも・・・? 「酔ってるな・・・」 直紀は、麻衣に近づいて口づける。 「気分悪くない?」 「大丈夫・・・」 唇を開いて、直紀の舌を受け入れる。うっすらとタバコのにおいがする。 「そのまま・・・座ってて。」 麻衣は、手を後ろへついて体を支える。胸を直紀へ突き出すような形になる。直紀の舌が、麻衣の胸へと移動する。舌でくるくると輪郭をなぞる。もう一方の胸は、手で捏ねられている。 「んん・・・」 じわりと下腹部が疼く。直紀は両手をつかって胸を捏ね、舌で転がすように何度も何度も弄ぶ。 「ん・・・っ、んんっ」 麻衣はそのたびに嗚咽のような声を上げる。直紀の息遣いが荒くなっていく。 「・・・横になって」 麻衣はあおむけに寝そべる。直紀は浴衣を脱ぎ、麻衣の上に覆いかぶさる。少しずつ、麻衣の中に入ってくる。 あれ、と麻衣は思う。いつも必ず避妊具を付けてから、入ってくるのに。昨日はちゃんと付けていたはずだ。 「麻衣・・・」 「あ・・・あ、あ・・・」 昨日よりも、滑るような感じがする。そして、形が、わかる。今までとは異なる感覚に、麻衣はぞくぞくと肌を粟立たせる。 「麻衣・・・麻衣・・・」  何度も、麻衣の名前を呼ぶ。 「あ、なお・・・」 直紀が麻衣の口をふさぐように口づけ、麻衣の膝裏を抱え込む。そのまま一気に追い立てるように腰の動きを激しくしていく。 「はあ、あ・・・」 直紀が唇を離して、苦しそうに顔をしかめると、動きを止める。びく、と腰が揺れる。麻衣の中に、生温かい感触が広がる。 直紀が体を離し、麻衣の体に浴衣をかける。自分はそのまま、部屋の外の露天風呂へ向かった。  麻衣は、混乱した。中に・・・?麻衣は直紀の去った方に視線を向ける。今まで、こんなこと、されたことなかったのに・・・、どうして?  麻衣の脳裏に、一瞬、何か気づかれたのだろうか、という思いが浮かぶ。そして、不安になる。何か、不自然なことをした?仕事の話はしたけど、それは聞かれたからだし、あまり人間関係や、出張のことも触れないようにしたし・・・実家への挨拶のことも、せっかくの旅行だから、プレッシャーになってはいけないと思って、触れないようにしているし・・・。  次の瞬間、そもそも、もう自分にはそんな資格もないか、と暗い気持ちになる。  どうしたのだろう、とドキドキしながら、体を起こして浴衣を羽織り、ふらふらと露天風呂のほうへ向かう。湯船につかっていた直紀が、扉を開けた麻衣のほうに視線を向けた。 「私も、汗、流したい。」 かろうじて言葉を発して、洗い場のシャワーで体を流す。さっき出された直紀のものがとろりとでてくる感触がして声が出そうになり、思わず身を震わせた。 「入ってもいい?」 声をかけると、直紀が、伸ばしていた足をおりまげ、麻衣のスペースを作ってくれる。麻衣は、直紀の腕のなかに収まるように入った。 こんこんと湯の流れる音がする。 何かあったの、と聞きたいような、聞けないような。聞いた方がよいのかどうか、麻衣はわからず黙って空を眺めていた。直紀が、大きく一つ、溜息をついた。麻衣が振り返ろうとすると、肩に軽く歯を立てられる。 「えっ・・・」 そのまま、ちゅっ、と強めに吸い付かれる。他の場所にも吸い付きながら、後ろから両胸を掴む。 「そこ、手、ついて」 湯船のへりに手をつけると、腰を突き出すような体勢になる。そこへ自分のものを押し当てて、一気に突き立てる。 「んっ・・・」 声が出そうになると、直紀が麻衣の口元を手でふさぎ、ゆっくりと腰を動かし始める。 「はっ・・・ん・・・」 麻衣は、声を殺しながら、直紀の方を振り返る。体を動かすたびに、湯船から湯があふれる。 やっぱり、さっきから、少し様子がおかしい・・・?麻衣がうるんだ目を直紀に向ける。 「静かだし、聞こえちゃったら・・・」 直紀がぶるっと体を震わせてから体を離し、ザブリと湯の音をさせながら湯船から出る。 「じゃあ、上がろう」 タオルをとって、麻衣に渡す。麻衣が体を拭いていると、自分の体を拭き終えた直紀が麻衣の体をタオルでくるむようにして、部屋の中へ導く。 「そこ、うつ伏せになって・・・」 さっき、一度乱した布団の上に、麻衣はうつ伏せに寝転がる。すると、直紀が腰を抱えて、四つん這いの体勢にさせる。 「あ・・・」 「麻衣・・・」 後ろから、直紀が中に入ってくる。そのまま、直紀はいきなり激しく腰を打ち付けてくる。 「麻衣・・・」 直紀は、麻衣の背中に口づけ、胸に手を添える。指先で、麻衣の胸の先端をきゅっと摘んだ。 「あっ・・・」 強い刺激に声が大きくなり、体を反らす。 体を揺さぶられながら、頭を直紀のほうへ向けようとすると、肩を押され、腰を突き上げるような体勢になる。より、深く、奥のほうへと、直紀のものが突き刺さる。 「あっ・・・ん・・・っ」 そのまま、何度も奥を突かれて、麻衣は苦しそうな声を上げる。 「ふっ・・・んっ、んっ・・・」 そのまま、何度も抽挿を繰り返し、直紀は無言のまま、再び麻衣の中に吐き出した。麻衣は、ぴくぴくと太ももを震わせる。 「は・・・」 二人で、布団に倒れこむ。直紀は荒い息で麻衣を見つめる。麻衣も、直紀を見つめた。言葉が出ない。直紀は、無言で麻衣の額に口づけてそのまま抱きしめた。
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