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7月(2)(※)
「里見さん」
肩をたたかれて、はっと目が覚める。いつのまにか、寝てしまっていたようだ。
「あれ、寝てた・・・?」
「はい、思いっきり。もう、レポートは送っちゃいましたよ。」
「はれ、ごめん・・・」
よく見ると、宮野も缶チューハイを手にしている。パソコンは片づけられ、テーブルの上には、麻衣の飲みかけの缶と、もう一つ、飲み終えて潰した缶が転がっている。
「あー、ほんっとゴメン・・・でも、眠い・・・」
また瞼を閉じようとする。
「あー、ダメです。寝るなら、自分の部屋戻って寝てください。まったく、男がいる部屋で寝るとか、・・・どんだけ意識されてないんだ。」
「でも、眠い・・・」
麻衣は無視してそのまま眠ろうとする。
「ダメですって・・・部屋まで送りますか。」
そういわれて、ゆっくりと立ち上がる。
「いや、大丈夫・・・」
二歩、三歩とあるいて、結局ベッドに倒れこむ。
「ちょっと・・・」
「ベッドに、着いた」
そういいながら、靴を脱ぐ。スカートの裾から、下着がちらりと見えて、宮野は天を仰ぐ。
「ダメです。起きてください、里見さん。」
再び、肩をたたきながら、声をかける。麻衣の反応は無い。
宮野は、麻衣を見下ろしながら缶に口をつける。テーブルに置くと、缶が殻になった音を立てる。ネクタイを緩めて、ベッドの空いたスペースに腰かける。ふうと大きく深呼吸した。
「さ、と、み、さん」
麻衣の耳元で、そっと囁く。すると、麻衣が
「ん・・・」
と喘ぎ、体を揺らす。その様子を見て、宮野の中に、いたずら心が湧く。
「ま、い」
と耳元で名前を呼ぶと、喘ぎ声が大きくなる。宮野の頬が染まる。
「はあ・・・」
口を少し開いて、恍惚の表情を見せる。もう一度、今度は低い声で名前を呼ぶ。
「麻衣」
「あんっ・・・」
思っていたよりも大きな声を出したので、宮野はとっさにドアロックで開いているドアを閉めに動いた。
麻衣のそばに戻って、今度はふう、と耳に息を吹きかけた。
「ふふっ・・・」
今度は、笑うように声を上げる。
「目、覚めました?」
声をかけると、うっすらと目を開ける。
「うん・・・自分の声で目が覚めた・・・。でも、体が重い・・・」
と動こうとしない。
「俺も、疲れたんで、横になりたいんですけど。」
仁王立ちになるが、麻衣が動く気配がない。ぴくりと眉を上げて、宮野は靴を脱ぎ、麻衣の隣にわざと乱暴に横になる。ベッドのスプリングの反動で、麻衣の体が跳ねる。
「わっ・・・」
麻衣が目を見開いて声を上げる。宮野がクスリと笑う。
「もぉ・・・静かにしてよ」
麻衣が宮野に背を向けながら抗議の声を上げるので、宮野が体を起こして覗き込む。
「俺の部屋なんですけど・・・」
麻衣は、笑顔で目を瞑っている。
「酔っぱらい・・・」
宮野がつぶやき、麻衣の耳朶を指先でなぞると、ぴくりと麻衣が体を揺らす。麻衣の様子を観察しながら、耳朶の輪郭や溝をなぞるように、そっと指先を這わせる。麻衣の唇が薄く開いて、小さな喘ぎ声が漏れる。
「っ・・・」
宮野はそのまま、指を首筋、うなじへと移動させる。時折、麻衣の体が波打つ。宮野はたまらず、麻衣の耳朶に歯を立てる。
「んっ・・・」
麻衣は声を上げる。
「起きないなら、起きるまで、やりますよ・・・っ」
そういって今度は舌で耳朶の溝をなぞる。さっき、指でなぞられたところを、今度は舌が這う。麻衣の体をぞくぞくと官能の疼きが這う。
「あ・・・ん」
「そんな声出すなって・・・」
宮野は、水音を立てながら、麻衣の耳朶を舐め回し、耳の後ろにも舌を這わせる。麻衣も、声を殺しながら耐えるが、再び軽く耳に歯を立てられたとき、大きく声が出てしまう。
「は・・・あっ・・・」
次の瞬間、宮野が横を向いている麻衣の肩を押し倒し、ベッドにあおむけにすると、麻衣の唇を舌でペロリと舐めた。麻衣はうっすらと瞼を開き、うるんだ目で宮野を見上げる。
「起きてんじゃん・・・」
もう一度麻衣の唇を舌先でペロリと舐める。舌先を使って、麻衣の合わせた唇を開かせると、麻衣の口の中へと舌を侵入させる。
「は・・・」
麻衣の声が漏れる。更に奥へと、舌を侵入させ、上顎、下顎と愛撫されると、麻衣の口が少しずつ大きく開いていく。
宮野は無言で麻衣のブラウスのボタンをはずし、スカートのホックに手をかける。麻衣は頬を染め、ぼんやりと部屋の明かりを見つめている。体に力が入らない。されるがままになっていると、麻衣は着ていたものをすべて脱がされた。
麻衣のとなりに横になって、さっきとは反対の耳にかじりつく。
「あ・・・」
「耳、感じるんだね」
囁きながら、麻衣の胸に手を伸ばす。やわやわと、形をかえるように捏ね上げる。
「ん・・・んっ・・・」
その手が、麻衣の足の間に降りていく。
「すごい・・・」
さんざん耳を弄ばれて、麻衣の体にはたっぷりと疼きが蓄積されていた。
「あ、やだ・・・」
宮野は、麻衣の胸を舌で形をなぞるように舐め回す。足の間で上下にやさしく指を動かされると、敏感な部分に当たり、次の瞬間、麻衣の視界が真っ白になる。
「んっ・・・」
一瞬くぐもった声を上げ、シーツをつかみ、体を硬直させる。ぴくぴくと腰が痙攣する。
「は・・・」
予期していなかった絶頂に、息も荒く宮野の方を見る。宮野も、驚いたように麻衣を見ていた。
「あれ、もしかして・・・いっちゃった?」
麻衣は、無意識に一度頷く。次の瞬間、恥ずかしくなって、枕に顔をうずめる。その様子を見て、宮野がベッドを降り、着ていたものを脱ぐ。
「まだ、待って・・・俺も、したい」
麻衣の足の間に体を移動させ、膝を抱える。少しずつ、麻衣の中に宮野のものが入ってくる。
「や、だめ、あ・・・」
「あ、やば・・・きもちい・・・」
「ん、んんっ・・・」
麻衣が唇をかむ。宮野は、両手で麻衣の胸を掴みながら、腰を揺らす。
「だめ、だ、いく・・・」
何度か強く腰を打ち付けた後、麻衣の体の上に温かいものが広がる。
「はっ・・・あ・・・、は・・・」
宮野は、麻衣のうなじに顔をうずめながら、息を整えている。麻衣に軽く口づけてから、手を伸ばして自分の出したものを拭き取る。
「は・・・だめ、まだ、もう、1回・・・」
麻衣の隣に体を横たえながらつぶやいたが、次の瞬間、寝息に変わる。麻衣も、瞼の重みと疲労感に耐えきれず、再び目を閉じた。
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