リバース

　僕たちが旅の途中に訪れた集落は、疫病で疲弊しきっていた。似た病を見たことのあった僕は動ける者と協力して材料を集め、薬を調合した。

　過去に見たものと同じ病かも分からない、材料も寄せ集め。それでも蓄えてきた知識を総動員して何とか作り上げた薬は、人々の命を救った。

　僕は集落中の人から涙ながらの感謝をされた。食料やお金を渡してくる人も多かった。どこの馬の骨かも分からないやつらを受け入れて宿と食料を分け与えてくれることに、むしろこちらが感謝しているというのに。

　薬が効いたのだって偶然だ。血反吐を吐きながら治療したって助からないときは助からない。努力と知識だけでは命は救えない。まあ今回は上手くいったし、自分の薬で元気になった人たちを見るのは、悪くない。