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今思えば。
それが最良の選択だったのかも知れない。
ふと気付いた時。
僕は僕ではなくなっていた。
そして、目の前には。
涙を流しながらも、笑顔の沙織さんがいた。
一番大好きだった、あの彼女がいた。
僕の心臓は、ドナー待ちをしていた彼女の息子の体に移植されたのである。
沙織さんの言えなかった秘密。
そして、離婚した理由。
好きな人に応えられなかった哀しみ。
これが、あの涙の秘密であった。
どの岐路から、この道が繋がっていたのか?
僕の選択は、間違っていたかも知れない。
でも、今僕は。
とても…幸せなのです。
人はみんな、知らない内に、数え切れない岐路に出会い、選択しながら生きている。
そのどこかの岐路が。
奇跡に繋がることがあるとは知らずに…
【前前前夜 〜奇跡の選択〜】 完。
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