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呆然とした感覚のまま、データを送る。
OA機器と照明を消して、会社を出た。
僕の車の右に、彼女の車はもういない。
その空間が、ただただ寂しく思えた。
条件反射の様に車に乗り、いつもの帰り道を走りながら、いつしか涙が溢れていた。
(こんなはずじゃ…なかったのに…)
涙なんて、思いもしなかった。
(彼女も…好きと言ってくれたのに…)
その後の彼女の言葉が、重く響いていた。
そして、それよりも何よりも、あの大好きな笑顔を消してしまったこと。
そうした自分が悔しかった。
涙でボヤけた視界に、コンビニの光が眩しい。
トンネルか山越えか。
躊躇うことなく、走り慣れた山道へアクセルを踏み込んだ。
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