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あと語り
謝辞の欄でも申し上げました通り、ここから先は蛇足となります。
私が表現したかったこと、考えていたことを簡単に書かせて頂きます。
1つ目の部屋
木目張りの部屋ですが、少し古い家(部屋)をイメージしました。
古い部屋に居るのが少女というミスマッチ。あまりにも察しのいい人はこの時点で少女=『私』を察していたかもしれません(だとしたら書いた身としては恐ろしすぎる)。
少女は外の世界に不安を持ち、自分の世界に引きこもってしまうイメージを持たせました。
しかし、それではいけない。なんとかして外の世界とコミュニケーションを取りたい。そんな思いをぬいぐるみ(人形さん)として表現しました。
そんな少女に『私』は無理をしなくていい。そう思っているだけでも十分素晴らしいということ。出来ることからやっていこう。というお話をしました(したつもりです)。
申し遅れました。少女、女性、奥さん、私は『私』が過去に不安に駆られた時のイメージです。
最初に扉が開きづらかったのは、思い起こしにくかった。またはあまり思い起こしたくなかった過去という暗喩です。
この作品は老衰間近のお婆さんが、アルバムを見返してその時を思い出し、それでも強く生き抜いたことを想起するお話です。
ですので、これはファンタジーではなく、全てほぼ寝たきりのお婆さんの空想の中のお話です。1番最後にお孫さんと思われる子とその母親がアルバムの話をしていたのはそういった経緯があります。
これには、話に現実味を与えて、これは物語だけの話じゃないよというメッセージにしたかったという意図がありました。
以上が1つ目の部屋と物語の背景となります。
2つ目の部屋
コンクリートの部屋
この部屋は私自身も書いていて印象強い部屋です。ガチガチの固定観念をイメージしました。
服を選んでいた女性のイメージは、人からどう見られているかを悩んで八方美人となり、自分が欠落しているイメージです。
対比として本の山を積み上げました。
女性は欠落した自己を求めて服(外見)を探しますが見つかりません。
見つかる方もいると思いますが、少なくとも彼女は違いました。そこで『私』がヒントとして本を読むことを勧めます。
これは謝辞でも述べたヒントでもあります。
服は外見、対比した本は中身。
つまり、今までの人生で経験したこと学んだこと。それこそが自分自身の中身を創り出す。だから本(自分)をもう一度見つめ直して欲しい。というメッセージでした。
コンクリートの部屋に積まれている本の中にこの作品が紛れ込んでいたら嬉しいですね。
3つ目の部屋
病室。白を基調とすることで新しくプラスのイメージをしっかりと確立させました。
ここからはシンプルになります。
『私』と私たちが同一であることや不安を持った彼女たちに『私』が手を差し伸べている理由。
お婆さんの『私』は幸せを与える象徴・理想であり、不安を持つ彼女たち(過去の自分)に手を差し伸べる立場でした。
妊婦は未来に不安を持っていました。
当初、理由付けとして危険な出産である設定でしたが、複雑になりそうなのでカットしました。
4つ目の部屋
寝室
終わりをイメージしました。とは言っても日常の範囲内で強い死を連想して欲しくはなかったので、漠然と薄暗い程度にしました。
内容も悲観的にならず、お婆さんの人の良さを表現したつもりです。
死を直接的に表現することはせず、陰鬱なイメージも一切与えないようにすぐに『私』を登場させました。
『私』は不安になった私を助けてくれる『救いの手』であり『幸せ』であり『ありがとう』の言葉でもありました。
誰かに手を差し伸べて幸せを与える人生を歩んだ彼女には、
最期に「ありがとう」という言葉が残り、悔いのない天命が待っていました。
というお話でした。
以上。蛇足でした。
ここまで本当に本当にありがとうございました。
以上で完全にこの作品は『終わり』です。
長らくのご愛読ありがとうございました!
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