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それは、根拠のない確信だった。三人目の仲間であるタイシとの記憶を取り戻しても、まだなにかが足りないと感じてしまう。マコトだけではなく、ほかの二人も同じように思っているのなら、きっとその予感は正しい。
「それと、記憶を思い出す手順というか、法則みたいなものがわかった気がするんだ。多分なんだけど――」マコトと同時にタイシと出会っていたはずのミサキが、自分より少し遅れて記憶を取り戻したという違和感。そこから導き出したマコトなりの答えを、二人と共有する。
「なるほど。つまり、仲間同士は目が合えばお互いの記憶を取り戻す。そしてそれは、目が合った相手の記憶だけに限られる。……そういうことだな?」
「うん。じゃないと、ボクがミサキちゃんより先にタイシくんのことを思い出したことや、ボクの異世界での記憶がミサキちゃんとタイシくんに関わることだけだということの説明がつかないよね」
「つまり?」ぽんと、ミサキの号令のような声が飛んでくる。「理屈はわかったわ。それで? その推論を使って、どうやってほかの仲間を探すの?」
「あいかわらず結論を急ぐ奴だな。もう少し過程を楽しめ」
「アタシは、さっさと行動したいだけよ」
隙あらばバチバチと火花を散らせる二人はそのままに、マコトはぐるぐると頭を悩ませる。
「えっと……、氷の城を見て泣いている中学生っぽい人たちの顔をのぞき込んで片っ端から目を合わせる、とか?」
今までに得た情報を、単純につなぎ合わせただけの提案。なかなか勇気の必要な行動だとは思うが、それで残りの仲間を見つけられるなら、マコトはどんな手段でも試してみるつもりでいた。
「俺は見てもいなければ泣いてもいないが、まあいいだろう」
「アタシだって泣いてないわよ。でも、それしかないわね」
基本的に相性の悪い二人だが、意見が一致すれば即座に協力できてしまうのが流石だった。
「それじゃあ、善は急げだね」と。三人が氷の城に向かって別々に動き出そうとしたとき。
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