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「すみませんっ、そこの中学生っぽい人たち! ちょっと顔をのぞき込ませてください! 僕と片っ端から目を合わせてください!」
ついさっき、どこかで言ったばかりの、あるいは聞いたばかりの内容が、なぜか自分たちの後ろのほうから聞こえてきた。三人はきょとんと顔を見合わせ、こくりと首を傾げ、それから同時にくるりと振り向く。
「あの、ちょっと待ってくださ……あ、すみません通りますごめんなさいっ」
視線の先に、通行人と通行人の隙間を申し訳なさそうに進んでくる少年がいた。未発達な背格好と薄手のコートの下からのぞくブレザーから察するに、マコトたちと同じくらいの年齢だろう。
誰かとぶつかりそうになるたび、律儀に頭を下げている。そうまでして必死に走ってくるからには、とても大切な用事があるに違いない。なにより彼の言葉の真意が気になったマコトは、逃げるでも避けるでもなく、真正面から少年を出迎えることにした。
「っ、ありがとう、待っててくれて。実は……」
息を切らしながらも、まったく爽やかさを損なわない面差し。清潔感と清涼感でできているかのような少年は、その温和そうなイメージに似つかわしくない激しい勢いで、マコトの肩をつかんできた。
「わわっ」弾みで仰け反った体を足で踏ん張って支えている間に、マコトは最初の少年の宣言通り、額がくっつきそうなほど近くで顔をのぞき込まれる。
――そうしてやってきた、三度目の異変。思い出した、四人目の記憶。
「ユウくん!?」
「マコト……!!」
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