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かっちりと合った視線の先。走り寄ってきた少年――青葉ユウの、アクアマリンのような瞳から大粒の涙がぽろりとこぼれた瞬間。目の前から、その彼の姿が消えてしまう。
「だ、大丈夫? ユウくんっ」
気が抜けたうえに力まで抜けてしまったのだろうか。その場にぺたりと座り込んだまま、ユウは動かなくなってしまった。
「なるほど、理解したわ。ちょうどいいところに来たわね」
「飛んで火に入る夏の虫とは、まさにこのことだな」
二人揃って悪役のような台詞を吐くと、ミサキとタイシは地面を見つめたまま放心しているユウの顔を手で強引に上げさせ、順々に視線を合わせていく。
「わっ、ミサキ……タイシも、え、タイシ!?」
「二度見をするな。そこまで変わった覚えはないぞ」
「アンタの家には鏡がないの?」と、タイシには厳しく突っ込むミサキも「久しぶりね、ユウ。アンタは変わってなくて安心したわ」と、ユウ相手には素直に笑顔を向けている。懐かしい光景を微笑ましく見守っていたマコトだったが、ふと気になっていたことを口に出した。
「あの、ユウくん。さっきの呼びかけは、まるでボクたちが仲間だってわかってたみたいだけど……」
「ああ、それは――」
ユウが三人を見上げながらなにかを言いかけた、そのとき。ざわりと、周囲が色めき立った。
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