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2.ユウレイ
僕はユウレイ
部屋の隅で座り込む弱いユウレイ
幽霊は人をびっくりさせるおばけって言われてるけどね
実は僕は人が嫌いなんだ
僕は人も脅かせられない弱いユウレイ
僕はこんなふうに弱虫だから、幽霊の友達もいない
人間の友達なんて、怖くてなれない
だから僕は、人間なんか来ないような廃墟に1人で暮らしている
幽霊は食べ物もいらないから、ひっそりと暮らしていける
そんなある日、僕が住んでいた廃墟に1人の女の子が忍び込んだ
女の子が1人で...?
僕は心配よりも怖かった
もし人間にバレたらどうなるだろう...
逃げようかな...
その女の子は、僕がいた部屋に入って、部屋のど真ん中で座り込んだ
僕は少し心配してしまった
でも、僕は幽霊で、人間には見えないようになっている
だから僕は、その女の子の表情を見た
その女の子は、目からポロポロと涙が出ていた
僕は慌てた
女の子が泣いていたからだ
どうしよう、どうしよう...
「...ねぇ」
ヒッ!!
女の子が急に喋り出したから、僕はびっくりした
「誰かいるの?」
女の子は涙を流しながら聞いた
「いたら返事してよ...」
声も泣いている感じがした
「...いるよ」
僕は人間の問いかけに答えてしまった
「誰...?」
女の子は続けて問いかける
僕が幽霊って知ったら、この女の子はどう思うだろう
もしかしたら怖くて逃げるかもしれない
「...ユウレイだよ」
僕は何も考えずに質問に答えた
多分、この女の子は怖くて逃げるだろう
何もない部屋から声が聞こえるんだ
僕だったら絶対に逃げちゃうかも
「へぇ...幽霊がいるんだ...」
その女の子は何も動じず、冷静に確認した
「...怖くないの?」
「うん...最後に話すのが幽霊って...なんか嬉しいから...」
最後に話す...?
何をだろう
後から分かったことだが、その女の子は
両親が有名企業の社長で女の子に手が回らず、ろくに世話ができなくなり、
その上 両親は厳しい家庭で育ったらしく、その女の子にも厳しくしたが、
その女の子は耐えられなくなったそうだ
学校でもクラスの男子にいじめられていたらしく、死んでいい理由だったそうだ
僕は女の子の病室にそ〜っと入った
両親が棒立ちで女の子を見ていた
「...ごめんな...」
父親と見れる人がポツリと言って両親は病室から出た
病室には僕と女の子だけになってしまった
僕は、さっきの両親みたいに、
棒立ちでその女の子をただ見つめていた
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