冒険家の夢

5/8
前へ
/8ページ
次へ
「学校にも行けなかった私は、家の近くの冒険を始めました。近くの森や廃墟といったところから、徐々に登山や川下りをするようになりました。それが私に与えられた唯一の世界との接点でした。」  お金持ちは感動した。冒険を始めたのには、そんな理由があったなんて。 「けれど、私は変わらず貧乏で、この世界の不公平さを恨んでばかりいました。そんなときに、とあることを知りました。」  波の音だけが聞こえる海の真ん中で、月明かりが冒険家の顔を照らした。  冒険家は泣いているようにも見えたが、おもむろに立ち上がり、ヨットの奥へと入り、飲み物を持って戻ってきた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加