『帰り道』 Side 康介

2/4
前へ
/133ページ
次へ
割と男らしい恋人は、自分の体格や身長にコンプレックスがあるらしく。俺が女の子扱いしようもんなら烈火のごとく怒りだす。 いや、女の子扱いしようとは思っていないんだけど。 ただ、『大切で大事にしたい恋人扱い』しちゃうと結果”過保護”になっちゃうわけで。 っていうか。 今まで付き合っていたやつらと違いすぎる。 有体に言えば「慣れてる」やつらばっかりだったから、こんなピュアピュアな恋愛なんてしたことなくて。 好きって言って付き合って。 その後ってどうするんだっけ? どうやって距離を縮めていけばいいんだっけ? どうやったらあいつに嫌われないで、もっともっと俺を好きになってもらう方法ってはどうしたらいいんだ? 毎日、毎日、考えては、答えが出なくてグルグルと同じ場所に戻ってきてしまう。 まるで迷路に迷いこんでしまった気分だ。 もっと近づきたいのに、嫌われるのが怖くて今までと同じ距離でいる。 そう、つまり「好きだ」って告白してからずっと今のスタンスのまま。 一緒に帰ったり、行動を共にするのは充も許容してるみたいなんだけど、ちょっと触れただけで途端に顔を真っ赤にする恋人に、俺はどうしたらいいって言うんだ。 ってか、可愛すぎるだろっ。 「ところで充、何で今日は自転車なんだよ。」 「えっと、さぁ。・・・いっつも康介、俺を送ってくれるだろう。・・・だから、今日はさ、オレが康介を送っていってやろうと思ってさ。」 何それ、可愛い。 理由が可愛い。 愛してる。 「っと、お前ってな・・・。」 単純なんだけど、充が俺を思ってくれてる事をこういう時に再認識する。 そう思うと、今のまま俺たちなりの距離感でゆっくりと進んでいくべきなんじゃないのかって思う。 好きだから、そのまま突進してって、玉砕したら素も子もない。 でも、俺だって健康な男子高校生。 今のままってのは正直苦しくてたまらない。 身体も心も。 いや、ぶっちゃけ、俺の身体の方が我慢できるのかって。 即物的ではあるけれど。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加