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充だって同じ年齢なんだから、性欲有り余っててもいいのに、何故かあいつからはそういう性的なナニかが伝わってこないんだよな・・・。
それもまた、俺が充に手を出しにくい事の一つでもある。
まぁ、まだ精通してないってことは流石にないだろ・・・。
高校生だぞ。それはないだろって思ったら、脳裏に充の不埒な映像が流れそうになって頭をブンブンと振った。
「何やってんの、康介?」
「うおっ」
思ったよりも近い所に充の顔があって、ビックリした。
「呼んでも返事しないんだもん。どうした、具合でも悪い?」
俺の返事を待つ充はさながら犬の「マテ」だけど、その表情から俺の事を心配してくれているのがわかる。
「ん~ん、具合悪くない。ちょっと考え事。」
「ふーん。・・・で、か、帰る?」
ちょっとだけ頬を染めて。
ちょっとだけ上目遣いで。
ちょっとだけ俺の制服をちょんって掴んで。
いやいや、まてまて。
それはあざと可愛いだろって思うけど。
期待のこもった目で俺を見るから、もう陥落。
ああ、今日も手を出せない。
「じゃ、帰るか。俺が自転車ね。」
「え!オレの自転車なのに!ダメダメ、オレが乗るから!」
一気にぶうたれる恋人に、
「じゃ、半分で交代なっ。」
って言ってやったら、しぶしぶだけど了解してくれた。
自転車置き場まで歩きながら、さり気なく交渉する。
「それと、やっぱり充を先に送ってく。」
「何でっ!それじゃ意味ないじゃんっ。」
「だめ、俺んちは充の家通り越していくし、俺を送ってからお前一人で帰すの無理。」
「無理じゃないっ。子供じゃないし帰れるって。何それ、意味わかんない。」
ああ、コレは拗れるかも。
でも、充が一人で来た道を戻っていくの。
それを俺が一人で見送るの。
そんなの我慢できるか?
俺から離れていく充をただ見ているだけなんて、本当、我慢できない。
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